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農業におけるハイパースペクトルカメラの活用事例

 

電化製品や通信業界などに比べ、ハイテクとは関係が薄いように思われる農業ですが、近年は農業においてもハイテク化が進んでいます。その中でも、農地管理や製品管理におけるハイパースペクトルカメラの導入・活用が特に注目を集めています。

・ハイパースペクトルカメラとは何か、どう活用できるのか
・農業においてどのように役立つのか
・実際に導入するには何が必要になるのか
・ハイパースペクトルカメラにはどのような商品があるのか

この記事では主に上記の4つの疑問に焦点を当て、具体的な事例を挙げながら紹介をしていきます。

 

ハイパースペクトルカメラとは

私たちが普段使っているカメラは「RGBカメラ」と呼ばれ、赤・緑・青の3バンドの波長を読み取り、その組み合わせで画像を映し出します。人間の目も赤・緑・青3色の組み合わせで色を判断していますので、人間の目と同じ原理ということです。

ハイパースペクトルカメラは、人間の目や一般的なカメラで見られる3色だけでなく、さらに多くの色の波長(スペクトル)を分析することができるカメラです。様々な色の波長を分析することにより、人間の目には見えない物質の奥行きや、細かな違いをとらえることが可能です。

また、捉えられる色の波長数が異なる「マルチスペクトルカメラ」は、主に農業で活用されています。

 

マルチスペクトルカメラとは

マルチスペクトルカメラとハイパースペクトルカメラは、どちらも波長情報を得られるという点では同じですが、読み取れるバンド数(色の数)が異なります。ハイパースペクトルカメラのバンド数は10個〜数百以上とかなり多いのに対し、マルチスペクトルカメラのバンド数は一桁程度です。

マルチスペクトルカメラ・ハイパースペクトルカメラとも仕組みは同じです。物体を写すことにより、人間の目では判別できない色の違いや性質の違い、異物の有無などを調べることができます。では具体的にはどのような点が異なるのでしょうか?

 

両者の違いについて

繰り返しになりますが、二つの違いは「バンド数」。ハイパースペクトルカメラのほうがマルチスペクトルカメラよりも得られる波長の数が多いため、より緻密な結果を得ることができます。

例えば農作物の種類をドローンカメラで分類したい場合や、土壌のバイオマス測定、イネにおける窒素保有量の推定などでは、計測できる波長数が制度に影響します。つまり、多くの波長パターンの例(サンプル)が必要になりますので、ハイパースペクトルカメラでの測定が向いているのです。

近年ではハイパー/マルチスペクトルカメラが農業のあり方を変えると非常に話題になっています。ハイパー/マルチスペクトルカメラが農業にどのような影響を与えるのか、詳しく見ていきましょう。

 

ハイパー/マルチスペクトルカメラが農業をどのように変えるのか?

近年は農業従事者の人数が減少していることにより、一人あたりが担う農地面積が広くなっています。実際に一経営体あたりの経営耕地面積の平均は平成22年で2.19haであるのに対し、平成30年では2.98haまで増加しました。
※参照元:農地に関する統計(http://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/10.html

こうした背景から、少ない人数で広い農地を効率よく管理していく必要性が増しています。そこでハイパースペクトルカメラを導入することにより、果物の糖度判定や病気の植物の発見、成熟した植生・果実の発見などをスピーディに行えるようになるため、作業の効率が上がります。

また農業従事者の人数が減ることにより、農地の譲渡・売買の機会も増えています。新しい土地で農業を行う場合、農地全体の特徴を把握するまでには年月がかかります。ドローンにハイパースペクトルカメラを搭載し空撮することで、生育ムラや土壌の状態、生息している樹木の判別が一目で判別が可能になりますので、農地管理を円滑に行えるようになります。

次の項目では、実際にハイパー/マルチスペクトルカメラを使うとどのようなものを撮影ができるのか、それをどう活用していけるのかを紹介していきます。

ハイパー/マルチスペクトルカメラで撮影できるものと活用事例

植物を撮影することにより具体的に何が撮影できるのか、そしてそれをどう活用できるのかを、樹木と農業(植生)に分けて紹介していきます。

【樹木の撮影・活用事例】
樹木において撮影ができるものは主に以下の4つです。それぞれの事例を詳しく紹介していきます。
事例1.生息している樹木の分類
事例2.枯れている樹木の検出
【農業】
事例3.新芽生育の発見
事例4.成熟した果実の判別

 

事例1.生息している樹木の分類

ハイパースペクトルカメラで森林を空撮すると、樹木の種類ごとに異なるスペクトルを用いて分類することができます。航空写真では判別が難しい樹木、例えば同じ樹木のスギとヒノキなども区別が可能です。ハイパースペクトルカメラを使うことにより、森林の保全に不可欠な樹木の把握を簡単に行うことができます。

 

事例2.枯れている樹木の検出

ハイパースペクトルカメラをドローンなどに搭載して森林を撮影することにより、枯れている樹木とそうでない樹木を判別することも可能です。実際にナラ枯れやマツ枯れの早期対策にハイパースペクトルカメラが役立てられています。

 

ナラ枯れ(ブナ科樹木萎凋病)

ナラ菌と呼ばれる菌類がブナ科の樹木を枯らす病気です。ナガキクイムシが菌を媒介しており、原因のキクイムシを駆除しないと他の木も次々とナラ枯れを起こすため、放置すると森林が崩壊します。

キクイムシは木が枯れたあとに他の樹木へ移るため、キクイムシの脱出前に枯れたばかりの木を切り倒し、袋をかぶせて薬剤を散布して駆除を行います。駆除にはナラ枯れを起こした樹木を早く発見することが不可欠です。

 

マツ枯れ(マツ材線虫病)

マツノザイセンチュウという線虫の一種がマツを枯らす現象です。マツノザイセンチュウに感染した松にマツノマダラカミキリが産卵を行い、孵化して散らばることでマツ枯れが感染していきます。

拡大を防ぐためには、マツノマダラカミキリが孵化する前にマツ枯れにかかったマツを発見し、伐採することが重要です。実際に新潟市ではハイパースペクトルカメラを搭載したドローンを利用し、マツ枯れの検出・対策の研究を進めています。
(参考元:https://www.city.niigata.lg.jp/smph/shisei/seisaku/jigyoproject/kokkatokku/tokku/aguri/drone/drone-project-matsu.html

事例3.新芽生育の発見

同一の樹木でも、新芽と成長した葉ではスペクトルの反射率が異なります。新芽の生育時の状況をデータ化することにより、樹木を撮影するだけで新芽の芽吹きを判別することができるようになります。

これを利用し、茶の栽培においてもハイパースペクトルカメラの活用が始まっています。茶は芽の適採期を逃すと葉が硬くなり風味が落ちます。撮影で新芽を早く発見することにより、最優の品質の茶葉を摘むことができます。

事例4.成熟した果実の判別

果実は成熟具合によって吸収する光の波長が異なることが分かっています。撮影した波長を分析すると、成熟した果実とそうでない果実を分別することができます。

収穫前に樹木を撮影することによって結実した果物が収穫に適しているかどうかを確認でき、果物の品質向上につながります。また糖度の違いも撮影で分かるため、収穫後の等級分けや糖度測定にも活用されています。

【植生の撮影・活用事例】
樹生において撮影ができるものは主に以下の4つです。各事例を詳しく紹介していきます。

事例1.農地に生息する植生の高さの違い
事例2.活発な植物や成熟した植物の判別
事例3.土壌の性質の違い
事例4.米のタンパク含有量の測定

 

事例1.農地に生息する植生の高さの違い

ドローンなどにハイパースペクトルカメラを搭載して農地を撮影することにより、植生の高さをデータ化することができます。高さの違いを見極めることにより、農地における育成ムラの発生を把握したり、収穫や施肥のタイミングを測ったりすることが可能です。雑草の発見にも活用されています。

事例2.活発な植物や成熟した植物の判別

植物に含まれているクロロフィル(葉緑素)の濃度によって光の反射が異なることを利用し、活発な植物と弱った植物の見分けが可能です。弱った作物を早期発見することで、施肥などの早めの対策ができます。

事例3.土壌の性質の違い

土壌をスペクトルカメラで撮影することにより、肥料の散布ムラや水分量の差を発見することが可能です。土壌の傾向を掴むのに役立ちます。

事例4.米のタンパク含有量の測定

イネをハイパースペクトルカメラを使って空撮することにより、タンパク含有量を予測することができ、肥料の散布計画の立案に役立てることができます。

米に含まれているタンパク量は米の味に大きな影響を与えます。タンパク質が多いと米特有の粘りが低下して硬さが増すため、パサパサ感の元となります。米のタンパク量は窒素肥料の使用によって増えますが、逆に肥料を減らしすぎると猛暑に適応できなくなり、品質低下の原因となるため、タンパク量を見ながら施肥量を調節することが品質安定に繋がります。

米はプロラミンという水を吸いにくいタイプのタンパク質が胚乳(白米)の周縁部で増加すると食味を低下させるといわれています。玄米のタンパク質含量がおおむね7%以上の場合には、タンパク質含量が低いと食味が良く、高いと食味が悪い、という関係があることがわかっています。

しかし、7%または6.5%以下の米の食味を比較した場合には、必ずしも低タンパク化すると食味が良くなるわけではなく、5.5~6%以下ではむしろ評価が低下する傾向にあることがわかってきました。

一方、幼穂形成期以降の生育後期から登熟期の葉色や体内窒素含有率が低い場合に、高温による背白粒や基白粒などの白未熟粒の発生が増加することが明らかになっています。
玄米のタンパク質含量を不必要に低くするために、過度に施肥を抑制した結果、登熟期に窒素が不足すると、外観品質の低下を招きやすいので注意が必要です。

ここでは農業に絞って事例を紹介しましたが、既にハイパースペクトルカメラは農業以外の分野でも多く活用されています。では、実際にどのような用途でハイパー/マルチスペクトルカメラが使用されているかを見ていきましょう。

すでに始まっているスペクトルカメラの活用事例

農業に限らず、様々な分野においてスペクトルカメラが活躍しています。実際の事例を分野に分けて紹介していきます。

土木分野

活用事例1.森林の保全

「ハイパー/マルチスペクトルカメラで撮影できるものと活用事例」でも紹介した通り、森林の保全にハイパースペクトルカメラが活用されています。ナラ枯れやマツ枯れの対策には一刻も早く枯死木を発見する必要があるため、ドローンとスペクトルカメラを用いたリモートセンシングが実際に行われています。

活用事例2.コンクリートのひび割れ発見

目視だけでは分からない、コンクリートのひび割れをスペクトルカメラで確認することができます。トンネルはコンクリートをアーチ状の枠に流し込んで構築を行いますが、この製法ではコンクリート表面上に波模様ができるため、ひび割れを見つけることが非常に困難です。ハイパー/マルチスペクトルカメラを用いると、確認がしにくい隠れたひび割れを発見でき、保全に役立てることができます。

漁業分野

活用事例1.クロロフィル濃度撮影による漁場把握

衛生もしくはドローンにスペクトルカメラを搭載して海中を撮影することにより、クロロフィル(葉緑素)の濃度を測定することが可能です。クロロフィルが濃い場所はプランクトンが多く生息しているということであり、そこにはプランクトンを餌にする小魚や、その小魚を食べる魚が集まるため、漁場をあらかじめ把握することが可能です。

活用事例2.養殖場における赤潮の予防

プランクトンが増えすぎると赤潮が発生します。規模が限られている養殖場では魚の逃げ場がないため、赤潮が発生すると酸素不足で養殖魚が大量に死ぬことがあります。ハイパー/マルチスペクトルカメラで養殖場のクロロフィル濃度を撮影することでプランクトンの発生状況を把握し、赤潮をあらかじめ防いでいます。

鉱業分野

活用事例1.金属鉱物資源・油田発見への利用

ハイパースペクトルカメラを用いて地表を撮影することにより、特定の鉱物を分類できることが明らかになっています。今後の詳しい研究により、金属鉱物資源や地熱資源の発見への応用が期待されています。

また、スペクトルデータを利用した油田発掘についても研究が進んでいます。地表のスペクトルデータを分析することにより、石油の元となりやすい根源岩の熟成度を測れたり、油田特有の油ガスを測定したりできることが分かっています。

工業分野

活用事例1.プラスチックの分別

プラスチックリサイクル工場におけるプラスチックの分別に、ハイパースペクトルカメラが導入されています。プラスチックにはポリプロピレン、PETなど様々な種類があるのですが、どれも透明なため人間の目やRGBカメラでは見分けることができません。

しかしハイパー/マルチスペクトルカメラを用いると、樹脂ごとのスペクトルの違いを判別し、プラスチックを分類することが可能です。リサイクル工場では複数のスペクトルカメラで撮影を行い、その位置情報に基づいてエアジェットで種類が異なるプラスチックを弾き飛ばして分別を行っています。

活用事例2.噛み込み調査

商品の包装物の噛み込み検査にもハイパー/マルチスペクトルカメラが使われています。包装のシール部分に内容物の噛み込みがあると腐敗が発生するため、出荷前の段階で発見をしなくてはいけないのですが、近年はシール部分に印刷がされている商品が多く、RGBカメラでは発見ができません。スペクトルカメラを用いると立体的に画像を捉えることができるため、工場の生産ラインにおいて活用がされています。

活用事例3.塗装の剥がれ具合の可視化

ハイパー/マルチスペクトルカメラは平面だけでなく奥行きも撮影が可能ですので、それを利用して塗装の剥がれ具合を測定できます。実際に車の表面塗装の経年劣化による剥がれ具合をデータ化・強調しメンテナンスに生かすことが可能です。

食品分野

活用事例1.異物混入調査

食品工場における異物混入防止は非常に重要です。コンベアタイプの工場においてハイパー/マルチスペクトルカメラが多く導入され、異物発見に大きな役目を果たしています。ハイパースペクトルカメラを用いると、アサリの身の中の砂など、目では見えない内部の細かい異物も発見できます。

活用事例2.食品の不良品判別

品質管理においてもスペクトルカメラが活躍しています。アメリカなどでは、鶏肉の糞便汚染の発見(サルモネラ菌の予防)のためにハイパースペクトルカメラが多く使われています。また、チキンナゲット等のような加工商品の加熱不足の発見、形が崩れた製品の分別などでもハイパースペクトルカメラが利用されています。

活用事例3.糖度測定

「植生の撮影・活用事例」の項目でも紹介したとおり、果物における糖度測定にもスペクトルカメラが活躍します。果物に傷をつけることなく、かつ高精度で品質を管理することが可能です。

健康分野

活用事例1.メラニンマップ

シミやソバカスは、真皮層にあるメラノサイトがメラニンとなり、表皮に表れたものです。ハイパースペクトルカメラで皮膚を撮影することにより、シミのもとである「隠れメラニン」と呼ばれるものを映し出すことができます。

活用事例2.大腸がんの判別

顕微鏡にハイパースペクトルカメラを接続し大腸癌を撮影することにより、潰瘍性大腸炎や大腸ポリープの癌化ステージを識別することができます。現在は組織の変形具合や細胞質に対する細胞核の割合などから分析を行うことが主流ですが、カメラを利用することにより手間をかけず高精度で解析が可能です。

ハイパー/マルチスペクトルカメラは様々な分野で活躍していますが、農業においてはカメラがあればそれでよい、というわけではありません。実際にカメラを活用するには撮影用の器具や分析用のソフトが不可欠です。

ハイパー/マルチスペクトルカメラを農業で使う際に組み合わせるものは?

現場でハイパー/マルチスペクトルカメラを活用するために不可欠なものは主に以下の二つです。

・ドローン、もしくは高所撮影用ポール(一脚)
・分析用ソフトウエア/パソコン

ドローン、もしくは高地撮影用の一脚

リモートセンシングにはドローンが不可欠です。農業で使われている薬剤散布用のドローンは高くても10mが限度ですが、農地全体を撮影して比較をしたい場合は100mの高度が必要です。

一部のみを撮影したい場合は高さ3m〜10m程度でもカバーできます。高所撮影用ポールを利用すると10m〜12m程度の高さから安定した撮影が可能です。

解析用ソフトウェア

ハイパー/マルチスペクトルカメラを使って撮影すると、様々な光の反射データを取得するため、その中から自分が利用したい波長のデータを抽出しなくてはいけません。

例えばスペクトルカメラで畑を撮影した場合、そのままだと土壌と植生が混ざった状態のデータになります。植生のデータを分析したい場合、土壌のデータは邪魔になります。そのため必要な波長を抽出・分析するためのソフトウェア、ソフトウェアを使うためのパソコンが不可欠となります。

ハイパー/マルチスペクトルカメラには解析用ソフトウェアがセットになっているものも増えています。かつてハイパー/マルチスペクトルカメラは非常に高価でしたが、近年では低価格化が進み、個人で購入する方も増えてきているため、初めての方でも操作・分析がしやすい工夫がされています。

では具体的にどのようなハイパー/マルチスペクトルカメラが販売されているのかを次の項目で紹介していきます。

 

世界中のハイパー/マルチスペクトルカメラの生産状況

ハイパー/マルチスペクトルカメラは高い技術を使用しているため、一般的なデジタルカメラのように多くの会社が生産しているわけではありません。世界でもハイパースペクトルカメラを生産している会社は限られています。
この項目では以下の4つの会社ごとに代表的なハイパー/マルチスペクトルカメラを紹介していきます。

ハイパースペクトルカメラメーカー

・Specim社
・Photonfocus社
・Photon etc.社
・JFEテクノリサーチ株式会社

Specim社

Specim社は1995年にフィンランドで設立し、世界初の商用分光器を開発した会社です。ハイパー/マルチスペクトルカメラの分野においては最も歴史が古く、リーディングカンパニーとして有名です。

FX10/17

世界初となる産業用向けハイパースペクトルカメラです。このカメラが販売される前までは、ハイパースペクトルカメラは精密な手作業で組み立てなければならず、莫大な手間とコストがかかっていました。しかしSpecim社が投資を行い、大量生産を可能にしたのがこのFXシリーズです。

SPECIM IQ

寸法207×91×74mm、重さ1.3 kgと片手に持てるサイズにまで小型化したハイパースペクトルカメラです。デジタルカメラのようにタッチスクリーンパネルで撮影状況を確認でき、付属のソフトウェア『IQ Studio』で分析・処理が行えます。ハイパースペクトルカメラを初めて使う方でも扱いやすい製品です。Wi-Fi機能でリモート撮影もできますので、ドローンとの併用にも向いています。

Photonfocus

Photonfocus社はスイスの電子機器製造会社です。ベルギーの研究センターimecが開発したセンサなどをを利用し、3Dデータ計測に特化したカメラを販売しています。

HS02/HS03

カメラが立体物のデータを取得する機構には様々な種類があり、カメラもしくは対象物を平行移動する必要があるプッシュブルーム方式(ラインスキャン方式)が現在のスペクトルカメラの主流です。

しかしPhotonfocus社のHS02/HS03は、一定の領域を同時に撮影ができるスナップショット方式を採用。25バンドのデータを毎秒42枚取得が取得でき、対象物の動きにとらわれない立体撮影が可能です。

Photon etc.

カナダのPhoton etc.社は研究分野を対象にハイパー/マルチスペクトルカメラを製作・開発している会社です。技術者向けの顕微鏡付属タイプのハイパースペクトルカメラも販売しています。

V-EOS/S-EOS 1.7/S-EOS 2.5

ハイパースペクトルカメラの主流のラインスキャン方式ではなく、特定の波長の光だけを反射・透過させるVolume Bragg Grating方式を用いており、対象物やカメラを動かすことなく3Dデータを取得できます。視野の広さによって3種のモデルに分かれています。

GRAND-EOS

上記で紹介したVolume Bragg Grating方式カメラに対物レンズを搭載した顕微鏡モデルです。

JFEテクノリサーチ株式会社

日本国内の会社でもハイパースペクトルカメラの開発・製造が進んでいます。JFEテクノリサーチ株式会社はJFEスチールグループの企業で、スペクトルカメラだけでなくものつくりにおける様々なトータルソリューションに取り組んでいます。

ImSpector シリーズ

波長範囲によってV8C(可視・近赤外)、V10H(近赤外)、V10(遠赤外)の3種が用意されています。レンズとカメラ部分もオーダーメイドで組み合わせられるのが特長です。

まとめ

この記事では、ハイパー/マルチスペクトルカメラで撮影できる事柄や活用事例、農業におけるハイパースペクトルカメラの利用について紹介を行いました。

・ハイパースペクトルカメラは目に見えない光を撮影できる
・樹木や植生の高低や活力、種別などを判別可能
・糖度や水稲のタンパク質量なども分析できる
・ハイパースペクトルカメラは様々な分野で活用されている

ハイパースペクトルカメラは、一般のカメラや人間の目では見られない様々な光の波長を撮影できるカメラです。マルチスペクトルカメラも原理は同じですが、ハイパースペクトルカメラのほうが多くの波長を分析できます。

ハイパー/マルチスペクトルカメラは波長の情報を分析できますので、樹木や植生の生育状況、高さを画像で判別可能になります。またハイパースペクトルカメラを用いると、植物の活力具合や種別の差、糖度などの違いなど、肉眼では分かりにくい細やかな事象を分析できます。

様々な分野においてハイパー/マルチスペクトルカメラは活躍しており、個人で導入が可能なハンディタイプのカメラも販売され始めました。実証結果については研究段階のものも多く、ハイパースペクトルカメラの普及により、さらなる場面における 活用が期待されます。

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